先週の鴫谷OTのブログで、「安心して元気だからこその“おいしい”」という文を読んで、
なるほど、と思いました。

実は私、最近ご飯がおいしいんです。
きっかけは、「よく噛んで食べる」のを意識するようになったことです。
「よく噛んで食べる」のは大事なことと知ってはいましたが、
その言葉自体が当たり前のフレーズになり過ぎていて、かえって意識を素通りしてしまっていました。

先日、娘が幼稚園から貰ってきたプリントに、よく噛むことで、
“最小限の食べ物から栄養をできる限り効率よく体に取り込むことができる”
“本当に体に必要な量を食べることができる”といった内容の話が詳しく載っていて、
改めて意識するようになりました。

おにぎり

 

 

 

 

 

食べること、飲みこむことのリハビリを担当する言語聴覚士(以下ST)という仕事をしながら、
自分の食べ方にはほとんど注意を払っていませんでした。
卒業後病院に就職して以来、昼食時は嚥下障害をもつ患者様の評価とリハビリがあるため、
病棟を走り回り、自分の昼食は数分の間にかき込むか、それができなければ夕方まで食べられない、
という毎日を過ごしていたからだろうな、、、と思います。早食いは多くのSTが自覚しているようです。
たまに、おいしいと評判のレストランに行っても、ついついあまり味わうことなく早食いしてしまい、
自分でももったいないなあ…と思っていたほどです。

一般的に“白飯一口につき30回”と言われますが、試してみると私は5~6回で嚥下が始まり、
15回までには全て無くなっていました。30回噛もうとしても口から無くなってしまうのです。
30回噛むには、舌を回すように動かして食べ物を何度か歯のかみ合わせ部分まで運ばないといけないこと、
これまでは舌を前後上下に動かしていただけで充分には使っていなかったことに気づきました。
そして、しばらくは顎の筋肉痛が続きました。

慣れてくると、食事の味がよく分かるようになり、満腹感が得られ、食べる量は少し減り、
以前ほど間食もしなくなり、胃腸の具合も良いようです。

もう一つ、よく噛むようにし始めてから、普段の生活で心にゆとりが生まれたように思います。
一回の食事をしっかり大切にいただく、という意識が、他のことへも影響を及ぼしているのかもしれません。
“食べられる”ということが、“安心して元気な“状態につながることもあるのではないでしょうか。
嚥下障害をもつ方にとって、食べられない、食べることに危険を伴う、ということが、
どれほどその方の生活、人生に深刻な影響を及ぼしているのか。
食べることから、生活の安心感、人生の満足度が高められるように、
STとしてお手伝いしていきたいと改めて感じています。

言語聴覚士 英